「自宅で録ったギターやドラムが、どうもしょぼい…」「プラグインをたくさん挿しても、プロの音源のような”空気感”が出ない…」そんな悩み、ありませんか? それは、あなたのミックスに「空間」という名の楽器が欠けているからかもしれません。
ロックの歴史を変えた伝説のスタジオ、Sound City。ニルヴァーナやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが愛したその”魔法の空間”が、今、あなたのDAWの中に蘇ります。
伝説のロック・サウンドが蘇る場所:UAD Sound City Studios Plugin 完全解剖
Universal Audioが放つ「UAD Sound City Studios」は、単なるリバーブプラグインではありません。
これは、
「あなたの部屋を、歴史的傑作が生まれたLAのスタジオにリフォームする」ためのタイムマシンであり、
建築ツールです。
今回は、このプラグインがなぜ「魔法」と呼ばれるのか、その秘密である”Re-Mic”機能や、伝説のNeveコンソール、そして知る人ぞ知る「Dolby Aトリック」などの隠し機能までを徹底解剖。 あなたの音楽をガラリと変え、リスナーの魂を揺さぶる「ロック・サウンド」を手に入れるための活用術を、余すことなくご紹介します。
ロックの聖地「Sound City Studios」とは?音楽史を変えた伝説の箱
1969年の創業から2011年の閉鎖まで:汚れた壁と黄金のサウンド

ロサンゼルスのヴァン・ナイズにある、一見すると何の変哲もない倉庫のような建物。茶色いシャグカーペットが敷かれ、壁は薄汚れていて、お世辞にも「最新鋭」とは言えない薄暗い空間。しかし、かつてそこには「魔法」としか言いようのない音が鳴り響いていました。それこそが、ロックの聖地「Sound City Studios」です。
1969年のオープン以来、このスタジオはアメリカのロック・ミュージックの歴史そのものを刻んできました。デジタル技術が進化し、プロツールスが業界標準になっても、Sound Cityは最後までアナログテープと、ある一台のコンソール、そして「部屋の鳴り」にこだわり続けました。2011年に惜しまれつつ商業スタジオとしての歴史に幕を下ろしましたが、その伝説は今も語り継がれています。
なぜ、ミュージシャンたちはこの汚れたスタジオを愛したのでしょうか?それは、ここで楽器を鳴らすと、他のどんな場所とも違う「爆発的なサウンド」が得られたからです。特にドラムの鳴りは強烈で、叩いた瞬間に部屋全体が楽器の一部になったかのように共鳴し、マイクを通した音はすでに「レコードの音」になっていました。
Nirvana『Nevermind』が変えた世界:デイヴ・グロールが愛したドラムの鳴り
Sound Cityの名を不動のものにしたのは、何と言っても1991年にリリースされたNirvanaの『Nevermind』でしょう。アルバムのオープニング曲「Smells Like Teen Spirit」のイントロで聴ける、あの巨大で、かつタイトなドラムサウンド。あれこそが、Sound Cityの「Studio A」の音そのものです。
当時ドラマーだったデイヴ・グロールは、このスタジオの響きに完全に惚れ込みました。彼は後にFoo Fightersを結成してからもこのスタジオを使い続け、スタジオ閉鎖の際には、ドキュメンタリー映画『Sound City』を自ら監督・製作し、スタジオのシンボルであったNeveコンソールを個人的に買い取ったほどです。彼にとってSound Cityは、ロックの魂が宿る神殿そのものでした。
Fleetwood Mac『Rumours』からRage Against The Machineまで:名盤リスト
Sound Cityで生まれた名盤は枚挙に暇がありません。100枚以上のゴールド・プラチナディスクがここで誕生しました。
- Fleetwood Mac『Fleetwood Mac (1975)』 & 『Rumours』: 1975年のセルフタイトルアルバム(『ファンタスティック・マック』)は、このスタジオの評価を決定づけました。特に名曲**「Landslide」や「Rhiannon」で見られる親密でありながら広がりのあるサウンドはSound Cityならではです。歴史的モンスターアルバム『Rumours』収録の「Never Going Back Again」**の、あの粒立ちの良いアコースティックギターの響きもここで録られました。
- Tom Petty and the Heartbreakers『Damn the Torpedoes』: アメリカン・ロックの金字塔。トム・ペティのバンドサウンドの骨格は、Sound Cityの部屋鳴りとNeveコンソールによって形成されました。
- Rage Against The Machine『Rage Against The Machine』: 1992年のデビューアルバム。トム・モレロの革新的なギターリフと、ブラッド・ウィルクの強靭なドラム。あの「生々しく、怒りに満ちた音」は、装飾を削ぎ落としたスタジオの空気振動そのものです。
- Johnny Cash『Unchained』: 晩年のジョニー・キャッシュがリック・ルービンのプロデュースで放った傑作。カントリーの伝説がグランジの聖地で歌うことで、枯れた味わいの中に凄みが加わりました。
- Metallica『Death Magnetic』: スラッシュメタルの帝王も、原点回帰のためにこの「デッドでタイトな部屋」を選びました。
これらのアーティストたちが、ジャンルを超えて共通して求めたもの。それは**「人間味のある、嘘のない、パワフルな音」**でした。リック・ルービンはこう語っています。「ギターの音はどこでも大体同じだが、ドラムは部屋によって変わる。Sound Cityのドラムサウンドは最高峰だ」と。
UAD Sound City Studiosの全貌:単なるリバーブではない「空間再現」
Universal Audio独自の「Dynamic Room Modeling」技術とは
Universal Audio (UA) がリリースした「UAD Sound City Studios」プラグインは、単なるリバーブプラグインではありません。これは、Sound City Studio Aの「音響空間」と、そこで使われていた「機材(マイク、コンソール、アウトボード)」を、物理モデリングによってDAW上に完全に再構築するツールです。
UAが特許を持つ「Dynamic Room Modeling」技術は、静的なインパルス・レスポンス(IR)コンボリューションリバーブとは一線を画します。IRが「ある瞬間の音の写真を撮る」ようなものだとすれば、Dynamic Room Modelingは「部屋の形状、材質、空気の揺れをシミュレートする」ようなものです。 そのため、マイクの位置を変えたり、音源の種類を変えたりしたときの反応が、驚くほどリアルで有機的です。マイクを近づければ近接効果(Proximity Effect)が生まれ、遠ざければ部屋の初期反射音が複雑に変化します。この「動的な」振る舞いが、演奏者やエンジニアに「スタジオにいる」という感覚を与えてくれるのです。
スタジオの空気、マイク、コンソール、アウトボードを丸ごとエミュレート
このプラグイン一つの中に、以下の要素が全て詰まっています。
- Studio A: 歴史的なドラムルームの音響特性。
- Mic Locker: 実際にSound Cityで使われていた、メンテナンスが行き届いたビンテージ・マイクのコレクション。
- Neve 8028 Console: デイヴ・グロールが買い取った、あの伝説のコンソールのプリアンプとEQ回路。
- Analog Outboard: スタジオ常設のDolby A301(エンコーダー)、1176、LA-2Aなどの名機エフェクター。
これらを自由に組み合わせることで、あなたは自宅にいながら、ニルヴァーナやトム・ペティと同じシグナル・チェーンを手に入れることができるのです。
ReverbモードとRe-Micモードの違い:用途に応じた使い分け
UAD Sound City Studiosには、大きく分けて2つの動作モードがあります。
- Reverb Mode: 通常のリバーブプラグインとして動作します。Auxトラックに立ち上げ、センドで送った信号に対してスタジオの残響を付加します。ボーカルやギターに「広がり」を与えたい場合に適しています。
- Re-Mic (Microphone) Mode: これこそがこのプラグインの真骨頂です。入力されたオーディオソース(例えば、ライン録音されたギターや、打ち込みのドラム音源)を、**「Sound Cityのスタジオでアンプやスピーカーから鳴らし、それをマイクで録音し直した」**ような音に変換します。 原音(Direct)と部屋鳴り(Room)のバランスではなく、「マイクで拾った音そのもの」を出力するため、音の質感そのものが劇的に変化します。
“Re-Mic” モードの衝撃:あなたの部屋が瞬時にLAのスタジオへ
既存のオーディオ素材を「スタジオで鳴らして録り直す」魔法
Re-Micモードを使うと、どのようなことが起こるのでしょうか? 例えば、自宅でオーディオインターフェイスに直挿し(ライン録音)したエレキギターのカッティング音源があるとします。これにRe-Micモードで「Guitar Cabinet」を選び、マイクをセットして通すと、まるで**「大きなスタジオでアンプを鳴らし、少し離れた位置からマイクで録った」**ような、豊かで空気感のあるサウンドに生まれ変わります。 アンプシミュレーターのキャビネット機能だけでは得られない、壁からの反射音や床の共振まで含めたリアルな「鳴り」が得られるのです。
打ち込みドラムやライン録音のギターが「化ける」瞬間
この効果が最も顕著なのがドラムです。BFDやSuperior Drummerなどの高品質なドラム音源は、デッドな(響きの少ない)環境で録音されたサンプルが多いですが、これをSound Cityに通すと一変します。 スネアはバシッと部屋を叩き、キックは床を這うような重低音を纏います。チープな打ち込みっぽさが消え、実際にドラマーが広い部屋で叩いているかのような躍動感が生まれます。「ドラムの音がしょぼい」と悩んでいるなら、EQをいじる前にまずこれを通すべきです。
DistanceとDistance Align機能による位相の完璧なコントロール
リアルな空間再現において最も難しいのが「位相(Phase)」の問題です。マイクを音源から離せば離すほど、音の到達時間は遅れます。これが原音と混ざると、コムフィルタリング(櫛形フィルター効果)という音質劣化を引き起こすことがあります。 UAD Sound City Studiosには「Distance Align」というボタンがあります。これをONにすると、マイクをどれだけ遠くに配置しても、時間のズレを自動的に補正し、原音と位相が合った状態を保ってくれます。 これにより、「音は遠くで鳴っているような広がりがあるのに、リズムはジャストでタイト」という、現実には不可能な理想的な音響状態を作り出すことができます。もちろん、あえてOFFにして自然な遅れ(プリディレイ効果)を楽しむことも可能です。
伝説を生んだ機材たち:Neve 8028コンソールとマイク・ロッカー
収録機材・パラメーター徹底解説:マニュアルに書かれない真実
“The Desk”:ルパート・ニーヴが作ったカスタムNeve 8028の色彩
Sound Cityの心臓部は、1973年にルパート・ニーヴ自身がこのスタジオのためにカスタムメイドした「Neve 8028」コンソールです。世界に数台しか存在しないこの「デスク」は、通常のNeveコンソールよりもさらにリッチで、音楽的な倍音を持っていたと言われています。 プラグインでは、単なるEQカーブの再現だけでなく、回路を通った瞬間に生じる**「倍音構成(Harmonic Distortion)」**までモデリングされています。 EQをフラットにして通すだけでも、音の重心が下がり、中域に「粘り」が出ます。これはデジタルEQでは決して真似できない「アナログの着色」です。
ビンテージマイクの宝庫:AKG C12, Neumann U67/U87, RCA 44など
Sound Cityは、マイクのコレクションでも有名でした。プラグイン内では、以下の伝説的なマイクを自由に選び、配置することができます。
- AKG C12: 煌びやかでエアリーな高域を持つ真空管マイクの最高峰。ドラムのオーバーヘッドに使うと、金物が痛くならずに輝きます。
- Neumann U67: ウォームで太い中域が特徴。ギターアンプやボーカルの「本体」を捉えるのに最適です。
- Neumann U47 FET: キックドラムの外側(Kick Out)の定番。低域の「塊」を捉えます。
- RCA 44BX: リボンマイクの名機。高域がロールオフされた滑らかで太い低域は、デジタル臭さを消し去り、ギターアンプやブラスに温かみを与えます。Re-MicモードでRoomマイクとして使うと、驚くほど太いアンビエンスが得られます。
- Sony C37A: 日本が誇る真空管名機。独特の密度のある中域は、クラシックロックのボーカルやスネアによく合います。
これらのマイクは、指向性(Polar Patterns)や周波数特性が異なります。マイク選びはEQ以上の効果を生みます。「高域を上げたい」と思う前に、C12を選んでみてください。「太くしたい」ならRCA 44です。これがエンジニアリングの楽しさです。
マジックを生む「Dynamics」セクション:1176とDolby A
EQセクションの隣にある「Dynamics」モジュールも見逃せません。ここには、Sound Cityのラックに収められていた名機たちがスタンバイしています。
- 1176 Limiting (Rev E): ロック・コンプレッサーの王様。Sound Cityプラグインに搭載されているのは、Rev E(ブラックフェイス)モデルです。特筆すべきは、**「全押し(All Buttons In)」**モードの挙動まで再現されていることでしょう。レシオボタンを全部押した時の、あの暴力的で歪んだコンプレッションは、ドラムのルームマイクを「爆発」させるのに不可欠です。
- LA-2A: オプティカル・コンプレッサーの代名詞。ボーカルやベースを自然に、かつ太くまとめるのに最適です。1176でピークを叩き、LA-2Aで全体を均す、という黄金の連携もこれ1台で完結します。
知る人ぞ知る「隠し機能」と「裏技」:Dolby A301と”Mut”トリック
UAD Sound City Studiosには、一見すると分かりにくいですが、実はとてつもない威力を秘めた「隠し機能」とも言えるセクションがあります。それが「Dynamics」モジュールの中にある**「Dolby A301」**エフェクトです。
“The Mutt Lange Trick”:エンコードモードで高域を輝かせる
1970年代から80年代にかけて、Def Leppardなどのプロデュースで知られるMutt Lange(マット・ランジ)やエンジニアのKeith Olsenは、ノイズリダクションシステムである「Dolby A301」を、本来の用途とは違う方法で使い倒していました。 彼らは、Dolbyユニットを「エンコード(圧縮・強調)」モードのまま、デコード(元に戻す)せずに音を出力したのです。
このプラグインのDynamicsセクションにある**「Encode」ボタンを押すと、この効果が再現されます。 結果として何が起きるか?中高域と高域が強烈にコンプレッションされつつブーストされ、「シャリシャリとした、かつ密度のある、ハイパー・リアルな高域」**が生まれます。 これは、80年代のきらびやかなバッキング・ボーカルの「あの音」そのものです。EQで高域を上げるのとは全く違う、シルキーで突き抜けるような倍音が付加されます。
“Air” モード:魔法のプレゼンス
さらに、Universal Audioは独自の**「Air」**モードも追加しています。これはEncodeモードの効果をより高域(Air帯域)にフォーカスさせたものです。 ボーカルにこれをかけると、息遣いや透明感が一気に増します。アコースティックギターにかければ、弦の煌めきが強調されます。 「音が篭っているが、EQで上げると耳に痛い」という場合、このDolbyセクションのEncode/Airを試してみてください。魔法のように解決することがあります。
さらに深掘り!マニアックな使いこなし術
Source Selection(ソース選択)は単なるプリセットではない
画面上部の「Source」メニュー(Drums, Acoustic, Vocalなど)。これを「単なるEQプリセットが変わるだけでしょ?」と思ってはいけません。 Sourceを変更すると、スタジオ内の「衝立(Gobo)」の配置や、楽器の想定設置位置が物理的に変わります。
- Drums – Live: 部屋の真ん中にドラムを置き、遮るものをなくした状態。拡散した広がりのある音。
- Drums – Tight: ドラムの周りをGobo(吸音壁)で囲んだ状態。初期反射が抑えられ、タイトでデッドな音になります。
- Piano: ピアノが置かれていた特定の場所での響きを再現します。
【裏技】あえて違うソースを選ぶ ドラム音源に対して、あえて「Piano」や「Guitar Cab」のソース設定を選んでみてください。本来ドラム用ではないGoboの配置やマイク位置になることで、予期せぬユニークなレゾナンス(共鳴)が得られることがあります。音が「面白い」と感じるポイントを探す実験こそ、Sound Cityの精神です。
“Wet Solo”を使った正確な音作り
Reverbモードで使用する際、Dynamicsセクションにある**「Wet Solo」**ボタンが非常に便利です。 これを押すと、ドライ音(原音)が消え、Sound Cityの部屋鳴り成分とエフェクト音だけが聞こえるようになります。 この状態でEQやコンプを調整することで、「部屋の響き」だけを徹底的に作り込むことができます。 「なんかモワッとするな」と思ったら、Wet Soloにして部屋鳴りの低域(Low)をEQでカットする。そうしてからWet Soloを解除して混ぜ合わせると、驚くほどクリアで奥行きのあるサウンドになります。
徹底解剖:Studio Aの「魔法」の正体とルーム・アコースティック
いびつな形状とリノリウムの床が生む「爆発的」な反響
Sound CityのStudio Aは、音響設計的には「完璧」ではありませんでした。壁は平行ではなく台形のような形をしており、床はリノリウム(硬い素材)でした。しかし、この「欠点」こそが、ロックには好都合でした。 音が減衰しすぎず、部屋の中を乱反射しながら飛び交うため、ドラムのような打楽器が非常にパワフルに響くのです。サステインが伸びやかで、かつアタックが埋もれない。この「ライブ感」こそが、多くのロックバンドを虜にした理由です。
マイクポジション(Close, Room, Ambient)による空間の彫刻
プラグインでは、マイクを「Close(近接)」「Room(少し離れた位置)」「Ambient(部屋の隅や高い位置)」の3つのポジションに設置し、それらをミキサーでブレンドできます。
- Close: 音の芯とアタックを捉える。
- Room: 部屋の初期反射音を捉え、音の「太さ」と「位置関係」を作る。
- Ambient: 長い残響成分を捉え、壮大なスケール感を出す。 これらをフェーダーで混ぜ合わせることで、「小さくてタイトな部屋」から「アリーナのような巨大な空間」まで、自在に空間を彫刻(スカルプト)できます。
楽器別・実践テクニック:デイヴ・グロールのドラムサウンドを作る
Drums: Re-MicモードでRoomマイクを強調し、Neveコンプで叩く
『Nevermind』のドラムサウンドに近づけるレシピです。
- ドラムバストラックにSound City StudiosをRe-Micモードでインサート。
- Sourceを「Drums」に設定。
- Mic 1 (Close) にAKG C12やNeumann U67を選び、クリアなアタックを確保。
- Mic 2 (Room) を上げ目にし、RCA 44などのリボンマイクを選ぶと、太い部屋鳴りが得られます。
- Dynamicsセクションで、コンプレッサーをオンにし、深くかけます。Roomマイクが圧縮されて「バシュッ!」と広がる感じを調整します。
- 最後にEQで低域(Low)をブーストし、Neveコンソールのサチュレーションで歪ませれば完成です。
Guitars: キャビネットのアンビエンスを足して「壁」を作る
歪んだギター(Wall of Sound)を作る場合。
- ギターバスにRe-Micモードでインサート。
- Sourceを「Electric Guitar Cab」に。
- Mic 1にShure SM57とRoyer R-121のブレンド(定番の組み合わせ)を選びます。
- Mic 2 (Room) を少し足すことで、アンプの前で聴いているような空気感が加わります。
- これで、ライン録音の平面的で「耳に痛い」音が、スピーカーから空気を震わせて耳に届く「立体的で太い」音に変わります。
Vocals: ビンテージマイクの特性とNeveプリを足して太さを出す
ボーカルにはReverbモード、あるいはRe-Micモードの「Vocal」設定を使います。
- Neumann U47やU67を選びます。これだけで、現代の安価なコンデンサーマイクにはない、中域の密度と艶が得られます。
- Reverbモードを使う場合は、Decayを短め設定し、Dolby A301(Air)をオンにします。
- リバーブ成分にEQをかけ、高域を伸ばすと、オケの中に埋もれず、かつ馴染みの良いボーカルになります。
他のUADスタジオプラグインとの比較と使い分け
vs Ocean Way Studios: 整った響き vs 荒々しいロックサウンド

- Ocean Way Studios: 非常にバランスが良く、リッチでハイファイな響き。ポップス、ジャズ、アコースティック系に最適。「高級な音」がします。
- Sound City Studios: 荒々しく、ガッツがあり、中低域が暴れる響き。ロック、グランジ、パンクに最適。「カッコいい音」がします。
vs Capitol Chambers: 豊潤なエコー vs タイトなルームアンビエンス

- Capitol Chambers: 地下の石室(エコーチェンバー)による、長く、濃密で、美しいテールを持つリバーブ。バラードのボーカルやストリングスに最高です。
- Sound City Studios: あくまで「部屋(ルーム)」の響き。残響時間は短めで、アタックの後に続く「初期反射」が主役です。リズム感を強調したい場合に適しています。
vs Putnam Mic Collection: マイクそのものの質感 vs 空間の収録

- Putnam (Bill Putnam) Mic Collection: マイクそのもののモデリングに特化していますが、Sound Cityは「マイク+部屋+コンソール」のトータルパッケージです。
- Sound Cityを使えば、マイクのキャラクターだけでなく、それが置かれた環境まで含めた音作りが可能です。
まとめ:Sound City Studiosは、ロックの魂を継承するためのツールである
DAWの中にロックの歴史そのものをインストールする意味
UAD Sound City Studiosを使うということは、単にエフェクトを便利に使うということ以上の意味があります。それは、ロックの歴史を作ってきた偉大な先人たちの「耳」と「魂」を、自分の作品に注入する行為です。 Neve 8028のフェーダーを上げ、ビンテージマイクの位置を調整するとき、あなたはデイヴ・グロールやブッチ・ヴィグ(Nevermindのプロデューサー)と同じ視点に立っています。
綺麗すぎるデジタル環境に、あえて「人間味」と「熱」を加える
現代の音楽制作は、あまりにもクリーンで、整然としすぎています。クリックに合わせて完全にクオンタイズされたドラム、ノイズの一切ないギター。それは正しいかもしれませんが、時に退屈です。 Sound City Studiosは、そんなデジタルサウンドに、汚れたカーペットの匂いや、タバコの煙が染み込んだ壁の記憶、そして人間が楽器を演奏したときの「熱量」を取り戻してくれます。 あなたの理路整然としたミックスに、ロックンロールの混沌と魔法をひとつまみ加えてみてください。きっと、音楽が息を吹き返すはずです。
UAD Sound City StudiosはUAD Signature Edition V3に収録されています。
UAD Sound City Studios Plugin セールはこちら >>


コメント